出発前、市ノ瀬、永井旅館前にて( 2001.9.23)
延び延びになっていた白山行きが、絶好の天気に恵まれて実現した。遠方ということもり、どのような交通手段を取るか悩ましいところであるが、簡便なマイカー登山とする。何より予約が要らないし、スケジュールの突然の変更にも対応できる。弱点は自分で運転しなければならないことだけである。昨年同様、湊氏との山行きは、湊宅まで私の車で行き、そこで車を乗り換える方法とする。今日は登山口手前の市ノ瀬にある永井旅館までの行程である。途中八風山トンネルの渋滞による時間のロスと、急遽長野の福澤と昼食を共にするとこになり、宿に着く時間的な余裕はない。
永井旅館は市ノ瀬のバス停の向いにあり、すぐに見つけることができた。日本秘湯の会の旅館であるだけに、温泉はしっかり堪能することができた。宿泊客は全員が白山の登山客のようである。朝食が5:30から用意出来るというのも山小屋並である。 ピーク時は、交通規制が取られ、市ノ瀬からのバスによるピストン輸送になるのだが、今日は規制日ではない。朝早くから次々と車が別当出合に向っていくのでいやな予感はしていたのだが、はたして登って行ってみるとすでに駐車場は満車らしく路上駐車の車が列をなしていた。結局500mほど下ったところに駐車することになってしまった。もっとも以前経験した富士山や尾瀬の場合よりはずっとましではあるが。駐車場を通って別当出合の休憩舎に行くというばかなことをしたが、ともかく8:47登山口を後にすることが出来た。もっともその前に弁当を車に忘れてくるという大失態に気づいていたのだが。 結果から言えば、この山行の2日間はいずれも雲一つない完全な快晴であった。そのぶん陽射しが強く、また朝の冷え込みも強かった。登山道はよく整備されていて歩きやすく、また道標も立派なものがきちんと建てられている。流石に日本3名山の一つであり、登山者の数もこの時期でありながら相当なものである。日帰りの登山者が全体の80%ぐらいと思える。 今日の行程は南竜山荘までという、いたって楽なものである。標高差は1255mから道中の最高点の2040mの785mである。南竜山荘は1975mにあり、明日は御前峰2702mまで727mの登りになり、まだ約半分残っている。今日がこれだけでは余りに楽すぎるので、展望新道でアルプス展望台まで行ってきた。ここは標高2150mで白山連峰の東端に位置し、南は恵那山、北は後立山朝日岳まで、北アルプスは勿論のこと、中央アルプスや南アルプスの一部も遠望でき、まさにアルプス展望台である。詳しい展望図は昭文社の山と高原の地図「白山」の裏面にあるが、今日はそのすべてを見ることが出来た。 翌朝、どうにか氷点下にはならずにすんだようだ。今日のトンビ岩コースは、比較的楽なコースで、時間に余裕がある場合はお勧めである。昨日の砂防新道が、南竜道の分岐から観光新道に合流する黒ボコ岩までの間が急登であるのに較べ、このコースは南竜ケ馬場を眼下に眺めながら静かな山歩きをすることが出来る。稜線にあるトンビ岩に着くと視野が変わり、エコーラインや大白川からの平瀬道を眺めながら、雪のなくなった万才谷雪渓をすぎ、室道の喧騒の世界に入っていく。工事中の室道センタではあるが、流石に白山登山の基地である。眼前の御前峰が立派な美しい山容を見せている。 重い荷物はここにデポして、身軽になる。御前峰からお池めぐりで大体90分程度か。御前峰までの道はメインルートだけあって石畳や階段がよく整備されている。標準時間40分を休まずに一気に登ることにした。さすがに息が上がったが根性で27分で山頂の一等三角点へ着く。それにしても途中唯一抜かれた裸足の老人の足の速いこと。 山頂からのアルプスの眺めは昨日の展望台でのものと変わらなかった。そこでここでは西や北の展望を主に楽しんだ。越前海岸の山々から始まり、加賀から羽咋に至る砂浜の海岸線、そしてその先に見える能登半島の低い山々。さらに東に向い、富山湾や富山平野が見えるはずであるが、ぼんやりしていてはっきりはわからなかった。その右はもう後立山の朝日岳が続き、アルプスへと繋がっていく。昨日と違っていたのは恵那山がはっきりと見えたことである。その他の南から南西へ懸けての山並みは、手前の別山を除いては、山の名前を特定することが出来なかった。たっぷりと山頂で時間を使ったので、お池めぐりものんびりと。お花畑はシーズンを過ぎていたが、キキョウ、りんどう、などは花を咲かせていた。圧巻は千蛇ケ池に雪が残っていたことと、雪解け水の池の部分が今朝の冷え込みで氷結していたことであった。氷の厚さは2cm近くあり、前日に続きかなりの冷え込んだものと思われた。 室道に戻り、昼食。後は下るだけであるが、湊の希望で観光新道を下ることにする。景観、混雑度を考えると確かにこのルートがよいのだが、何しろ急で難コースの評判があるので、多少心配ではあったが。なにしろ砂防新道の下りの標準時間2時間20分に較べ、観光新道は3時間もかかるのである。まあ時間のほうは遅れついでに、どうにでもなれと思ったが、流石に2時半には別当出合に着かなければ、その後のスケジュールがきつ過ぎ、道路状況が良くても今日中に東京に着けなくる。11時23分、室道出発。 弥陀ヶ原から黒ボコ岩の分岐までは順調に下った。ここから先が急な下りの難所と緩い尾根歩きの繰り返しである。朝の冷え込みからは想像できないは、暑さと陽射しの強さで、体力的にも長時間の歩行は望ましくない状況となっている。このコースは早くから別当出合の駐車場を見ることが出来るので、なかなか近づいたという感覚になれない、どちらかというと私の苦手とするコースであった。途中から大幅にペースダウンし、最低目標の2時半がぎりぎりになってきた。このコースは主に下りに利用されているが、他の下山者もかなり難儀している様子であった。禅定新道との分岐を過ぎると、槍の穂先にも匹敵しそうな急な階段状の下りである。膝のバネを精一杯効かせて、脚に衝撃を与えないよう、注意深く下る。長い長い下りも、林道と交差するところで一息つき(水場があり体を思いきり冷やすことができる)、あとは別当出合まで最後のひと踏ん張り。目標より5分早く、2時25分に着くことができた。そして車を停めたところまでひと歩き。 帰りは、天望の湯という温泉に入り、金沢で刺身定食でお腹を満たし、一路東京へ向う。家に着いたのは0時40分であった。 湊氏との年一回の山行、さて来年はどこにしよう。燕山荘でワインでも楽しむのはどうだろうか。それとも脚力強化の為に回数を増やそうか。 三角点記録: 白山−1等三角点白山 |
上記登山のデータ | 登山日:2001.09.23-24 | 天候:2日間とも快晴 | 2名パーティー(湊広) | 前夜宿泊、山小屋泊 |
登山路1日目:別当出合駐車場8:40−別当出合登山口8:47−(砂防新道)−9:28中飯場9:40−10:13別当覗10:24−10:57甚之助避難小屋手前(1960m)11:10−11:25分岐11:59−12:30南竜山荘13:50−15:00アルプス展望台15:55−16:25南竜山荘(泊) 2日目:南竜山荘6:47−(トンビ岩コース)−7:28休憩(2315M)7:38−トンビ岩(休憩)−8:20室堂8:30−白山拝道−8:57御前峰9:30−お池めぐりコース−10:40室堂11:23−弥陀ヶ原−黒ボコ岩(休憩)−(観光新道)−12:17殿ケ池避難小屋12:30−14:25別当出合−14:40駐車場所 |
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交通往路:溝口7:05−8:25湊宅8:45−練馬IC−関越道−上信越道−長野IC−善光寺−13:00福澤商店14:00−長野須坂IC−上信越道−上越JCT−北陸道−金沢西IC−R8−R157−白峰村−市ノ瀬−18:35永井旅館(泊)−別当出合駐車場手前 | ||||
交通復路 :別当出合駐車場手前−白峰ふれあい交流センター天望の湯−白峰村−R175−R8−金沢西IC18:10−北陸道−上越JCT−上信越道−藤岡JCT−関越道−9:45上里SA10:20−練馬IC−湊宅0:00−0:40溝の口 |