一年ぶりの湊との山行である。当初は8月上旬に計画したものが都合がつかずにこの時期までずれ込んでしまった。目白の湊邸から池袋の秀山荘に寄り、湊のウェアーを一式揃える。以前使っていたものは引越しの関係で猿が京の別荘でダンボールに入ったままだそうだ。3時近くの遅い出発であるが、道が空いているため、予定の18時には白馬のペンションに着くことができた。温泉とおいしい食事を楽しみ、翌日の早出にそなえる。
ペンションの主人の意見で6時10分の出発。朝食もおにぎりである。15分程度で猿倉の登山口に着いてしまう。周りには登山者がちらほら。さすが平日ということで空いている。歩き出す前に朝飯を済ませてしまうことにする。ここで湊がペンションで受け取った弁当を車に置いてくる荷物の中に入れてきてしまったことが判明。急遽、登山口の猿倉荘で朝定食とおにぎりを注文することになる。
白馬尻小屋までは、林道歩きが大部分で焼く1時間かかる。まだ目指す白馬岳は見えてこない。川に沿って大きな堰を回り込むと、大雪渓の谷が見えてきた。曇り空はなんとか今日は持ちそうだ。白馬尻小屋からしばらく行くといよいよ雪渓である。アイゼンを着けて歩き心地を確かめてみる。雪渓の脇のがれ場は脆く、歩こうとするとガラガラと崩れる。雪渓には所々にクレバス状の割れ目が入っている。またげるほどの幅ではあるが注意は必要だ。ベンガラによる誘導は下部には無かった。よく見ると左手のがれ場に登山道のマークがついている。今年は雪解けが遅く、雪渓が大きいようだ。やがてベンガラによる誘導がでてくる。この辺は思ったよりも傾斜がきつく、うっかりすると後ろに引っ張られそうになる。それにしても日本一の大雪渓はそのスケールの大きさを感じずにはいられない。一歩一歩確実に登っていく感覚がなんとも言えない。去年の6月にまだ氷結していた巻機山のヌクビ沢をアイゼン無しで登ったときの歩きにくさが頭をよぎった。アイゼンをつけてもう一度ヌクビ沢か割引沢を登ってみたいと思う。
ようやく雪渓の終わりが近づいてきた。最後はロープで右手に誘導され、秋道を登るようになっていた。このあたりが葱平なのだろうか。休憩しながら雪渓を登ってくる人をながめる気分は最高である。これから村営頂上小屋までの登りが今日の行程の中で一番きつい。槍岳山荘の手前のカールの壁を登るのと同じように思えた。やがて杓子岳がすぐ左手になると稜線はもう目の前である。村営頂上小屋はそのままパスし、尾根の分岐で写真撮影。北アルプスの山々がすべて見える。曇りの割には視界がある。一番印象に残ったのは剣岳の三角形であった。
白馬荘にチェックインした後、白馬岳山頂に向う。風が強くちょっと寒かったが、すばらしい景色を20分以上ながめた。遠く富士山まで見えたのには驚かされた。また猿倉側の切り立った崖も目を見晴らせるものがあった。小屋に戻り、山の上とは思えないレストランでビールで乾杯。夜中はオリンピックのテレビを見た。
今日一日雨の予報が出ていたが、起きてみるとまだ降っていない。よかったと思い、朝食をすませ、いざ出発と言う時についに降り始めてしまった。この日は下山するまでついに雨のままであった。白馬岳を過ぎ、三国境、小蓮華山に向う間の稜線は猿倉側からの強風に悩まされた。体が浮き上がるほどではなかったが休憩をとっているとあっという間に体が冷えてしまう。景色も望めないので、高山植物に注目しながら進む。ようやく草紅葉が始まっていてこれからの秋本番と初雪が近いことを冷たい風の中で感じることができた。やがて白馬大池が見えてくるころには稜線を外れたせいもあり、風も収まってきた。
大池小屋でコーヒーで一服したが、雨は一向にやむ気配は無い。あきらめて栂池めざして出発することにする。途中、昼食は無理なので、栂池に着く前にシャリバテにならないかとちょっと気になった。白馬乗鞍岳は予想とは全く違った岩だらけの山で、すべり易い雨の中では足元に神経を集中させる必要があった。頂上の大きなケルンを過ぎ、下りにかかるとますます岩は大きくなり、滑りやすくなった。途中雪田をすぎ、暫く急な下りを続けるとようやく天狗原の湿原に着く。天気が良ければ絶好の昼食ポイントなのであるが、今日はそのまま通過。栂池までの林間ルートは長い長い道のりであった。
さすがに空腹感を覚え、栂池山荘ではあっという間に弁当を平らげてしまった。それにしても栂池ヒュッテや栂池山荘は立派な建物である。栂池は山屋の領域と観光客の領域の接点である。栂池自然園を目指しての観光客や団体ツアーが、土曜日ということもあり、大勢来ていた。十分休憩をとり、後はロープウェイとゴンドラを乗り継いで下界に下りるだけである。おまけに今回はペンションの車でのお迎え付きである。2日目は天気には恵まれなかったが、人気の栂池、白馬のコースは是非もう一度天気の良いときにきたいものである。
今回の費用は以下のとおり:有料道路 11,400円(湊氏払い−首都高速、外環状、関越道、上信越道、小川トンネル)、ペンション一泊3食+ビール、ワイン9,500円、白馬山荘一泊2食+弁当9,850円、栂池パノラマウェイ1,720円、入浴料400円、他食料(弁当、飲料、おにぎり、チョコレート、缶詰)
三角点記録: 白馬岳−1等三角点白馬岳2932.24m 乗鞍岳−2等三角点乗鞍岳2436.41m 山ノ神−3等三角点山ノ神1990.12m
上記登山のデータ | 登山日:2000.9.22-23 | 天候:晴 | 湊広氏と2名 | 前日ペンション泊、小屋一泊、下山後帰宅 |
登山路:猿倉山荘6:57−8:00白馬尻小屋8:10−9:07雪渓途中9:17−10:07秋道取り付き10:20−11:05岩(昼食)11:30−12:10お花畑12:20−12:40村営山頂小屋−13:05白馬山荘13:20−13:40白馬山頂14:10−14:25白馬山荘(泊)
一日目:所要時間7H28M,休憩2H10M,正味歩行時間5H18M,標準時間5H50M 白馬山荘6:32−7:20三国境−8:00小蓮華山8:10−8:40船越ノ頭8:50−9:26白馬大池小屋9:40−10:20乗鞍岳10:23−10:50天狗原10:54−12:00栂池山荘13:00−(13:20栂池ロープウェー13:30)−(13:45ゴンドライブ14:05) 二日目:所要時間5H28M,休憩41M,正味歩行時間4H47M,標準時間4H45M |
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交通往路:前日:溝口11:30−12:30目白13:45−14:45池袋−首都高速−西池袋IC−首都高速−外環状−関越道−長野IC16:50−18:00白馬村ペンション
6:10ペンション出発−6:25猿倉登山口 |
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交通復路:栂池ターミナル14:10−ペンション14:25−14:30八方の湯15:00−往路の逆−練馬IC−20:00目白21:00−溝口21:45 |